ケミカル工事では、海岸部に架設されたコンクリート橋梁の塩害補修として電気化学的防食工法、塩分吸着型防錆モルタルによる補修を行っております。また、本補修に先立ち正確な損傷データを収集する上で重要である調査も実施しております。
現地状況
調査状況
鉄筋腐食状況
電気防食(脱塩)状況
ファイバー(電解質溶液)吹付状況
現地調査結果例
詳細調査の結果は下記のとおりでした。
- ① 塩化物イオン量
- 3.0~6.5kg/m3
- ② 断面欠損率
- 60%(1径間当り)
- ③ 鉄筋の損傷
- 30カ所(1径間当り)
補修・補強対策例
- ① 内在塩化物イオン量の低減を目的に電気化学的防食工法(脱塩工法)を実施しました。
- ② PC鋼材の損傷を懸念し、鉄筋裏に残存する塩化物イオンの除去は、塩分吸着型防錆モルタル工法を実施しました。
- ③ 鉄筋の損傷による補強対策は、炭素繊維シート接着工法を実施しました。
- ④ 塩化物イオンの再浸透防止対策として、表面被覆工法を実施しました。
電気化学的防食工法(脱塩工法)
工法説明
コンクリート表面に仮設電極を設置し、内部鉄筋との間に直接電流を流すことにより、コンクリート中の塩化物イオンを取り除く工法です。
工法概要図1
工法概要図2
特徴
- ■ 短期間(約8週間)で塩化物イオン除去が可能です。
- ■ ほとんど非破壊で処理が可能です。
- ■ 仮設材は処理後撤去します。
- ■ 塩化物イオン除去効果を施工後すぐに確認できます。
概要図
コンクリート中の塩分量の変化
施工手順

塩分吸着型防錆モルタル工法
1. 工法説明
鉄筋表面に塩分吸着型防錆モルタルを塗布することにより、鉄筋裏側に内在する塩化物イオンを吸着するとともに、亜硝酸イオンを放出することで鉄筋の防錆効果を向上させます。
2. 特徴
- ■ 従来の防錆材を塗布する要領と同じ施工方法になります。
- ■ 鉄筋裏側までコンクリートを除去する必要性がほとんどありません。
- ■ 内在塩化物イオン量により塗布量を調整できます。
塗布状況